モバゲー・GREEではゲーム外のメールアドレスや電話番号といった連絡先のやり取りや、外部へのリンクが禁止されています。
その監視体制は厳しく、たとえばモバゲーでは普通の数字を入力するだけでも電話番号と判定されて警告が表示されることがあるほどです。また、全く危険性のないサイトであってもリンクを貼るだけでペナルティーを受けることもあります。
モバゲーやGREEが連絡先の交換や外部への誘導や厳しく監視するのは、モバゲーもグリーも「青少年の保護、育成」を掲げているためです。
リアルであろうがネットであろうが、人と人が会話をすれば気が合う合わないか出てきて、リア友として話したいと考えることもあります。
しかしモバゲー・グリーのいずれSNS要素はゲームをするために提供しているもので、リアルの友達作りの場ではないと割り切ることで青少年保護を実現しています。
一方、モバゲーと同じゲームを配信することの多いmixiでは、一般的なSNS色か強ため、合コンは構わないとされています。しかし面識のない(mixiで知り合った)異性と個別で連絡先のやり取りを行うとペナルティを受けることがあります。
また、18歳未満は使えないはずの『DMM GAMES』でも、サービス外での連絡先の交換は規約で禁止されています。
DMMのように外部での連絡手段全般を禁止するならともかく、mixiの合コンはよくて(面識のない)異性と連絡先のやりとりはだめというのはわけが分からない。慣れてしまえばそういうものだと思えるのですが、文言だけみるとおかしくね?と思えます。
mixiでは実際、余ったチケットを譲ってもらうために、異性と連絡先を交換して会う約束をしただけでアカウントが停止されたケースもあります(退会させられた人がmixiを相手どって裁判を起こした)。
人とのつながりを形成するためのサービスであるSNSで、異性との出会いが禁じられているのは不思議な気がします。しかし、これには理由があります。
異性との出会いの場を提供すると「出会い系サイト」と見なされてしまう
面識のない異性との出会いの機会を提供しているとみなされると、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」、いわゆる『出会い系サイト規制法』の対象となります。
2003年9月13日施行された出会い系サイト規制法は2009年2月1日に改正されて今に至ります。2009年の改正で、出会い系サイトの利用者には、身分証明による年齢確認が必要となりました。
「出会い系サイト規制法」は「出会い」を禁止しているわけではなく、『未成年』との「出会い」を禁じる法律です。
「未成年」をよからぬ大人から保護するための法律なので、出会い系サイトを運営する(インターネット異性紹介事業を行う)なら「未成年が利用できないようにしなさいよ」というものです。
利用者は身分証明証の画像をアップして成人だと運営会社の認証を受けて、はじめてサービスを使えるようになります。つまり、未成年は出会い系サイトを利用することができない仕組みになっています。
警察庁 サイバー犯罪対策をみると、出会い系サイトの定義はこうなっています。
出会い系サイト(インターネット異性紹介事業)の定義
この法律では、出会い系サイト事業を「インターネット異性紹介事業」と呼んでいます。
「インターネット異性紹介事業」とは、以下の4要件をすべて満たす事業をいいます。
- 面識のない異性との交際を希望する者(異性交際希望者といいます。)の求めに応じて、その者の異性交際に関する情報をインターネット上の電子掲示板に掲載するサービスを提供していること。
- 異性交際希望者の異性交際に関する情報を公衆が閲覧できるサービスであること。
- インターネット上の電子掲示板に掲載された情報を閲覧した異性交際希望者が、その情報を掲載した異性交際希望者と電子メール等を利用して相互に連絡することができるようにするサービスであること。
- 有償、無償を問わず、これらのサービスを反復継続して提供していること。
上の4つの項目にに該当すると出会い系サイトと見なされてしまうため、事業者は会員に「身分証」による年齢確認をすることを義務付けられます。
出会い系サイトとして規制を受けたくなければ連絡先の交換につながる要素を全て排除する必要があるため、年齢を問わず異性との「出会い」を禁じる必要があるわけです。
実際、mixが出会い要素のあるコミュニティを削除したのは出会い系サイト規制法が導入された頃(その代わりかどうかは分かりませんが、mixiはYYCという出会い系サイトを運営している子会社を買収しています)。
ソーシャルゲームサイトの利用規約
SNS要素のある代表的なゲームプラットフォームの規約を確認すると、「出会い系サイト」と見なされないためのの文言が入っています。
モバゲー
第5条 モバゲー会員記述情報について1.モバゲー会員記述情報とは、当社の運営するサイト内にモバゲー会員が記述したすべての情報及びモバゲー会員間でメール等によりやりとりされるすべての情報をいいます。モバゲー会員記述情報に対しては、これを記述したモバゲー会員が全責任を負うものとします。モバゲー会員は以下の情報を記述することはできません。
(略)
f.異性交際を求めるもの
g.異性交際の求めに応じるもの
h.異性交際に関する情報を媒介するもの
i.公序良俗に反するもの
j.法令に違反するもの
k.当社の認めるサイト以外のサイトへのリンク、URL
l.その他当社が不適当と判断したもの
GREE
9. 禁止行為について
前項に加えて、当社は、本サービスの利用について、ユーザーの故意・過失を問わず、以下の各項に該当すると当社が判断する行為を禁止します(これらの行為は、ユーザーの日記、コミュニティ、伝言板、チャット、友達希望等、本サービスのいかなるサービス・機能を利用してなされたかにかかわらず、禁止されます。)。ユーザーが、前項に定める行為又は以下の禁止行為を行った場合、当社は、事前の告知なく該当箇所の削除や本サービスの利用停止、ユーザー資格の剥奪を行う場合があります。その場合、削除結果および利用停止措置に関する質問・苦情は一切受け付けておりません。
(1) 反社会的行為
a. 法令または公序良俗に違反する行為(略)
(2) わいせつ・暴力的表現・出会い目的行為
(略)
g. 異性との出会い等を希望、または誘導することが主目的であると当社が判断する一切の行為
h. その他、未成年者の人格形成等に悪影響を与えると判断される行為(刺青・未成年者の飲酒、喫煙等)
mixi
第14条 禁止事項
ユーザーは、本サービスの利用にあたり、次に掲げる行為を行ってはならないものとします。禁止事項に違反した場合には、強制退会、利用停止、日記等の情報の全部もしくは一部の削除、又は公開範囲の変更等の不利益な措置を採ることがあります。
(略)
(7)
性行為、わいせつな行為等を目的として利用する行為。
(8)
面識のない異性との出会い等を目的として利用する行為。
DMM GAMES
第6条(禁止事項)
1.利用者は、本サービスを利用するにあたり、故意・過失を問わず以下の各号に定める行為を行ってはならないものとします。■反社会的行為
(1)出会い目的、または本サービス以外での接触・連絡を目的とする行為及びそれらに応ずる行為
TSUTAYAオンラインゲーム
第7条(マイページおよび掲示板等の利用)
本サービスユーザーは、本サービスの利用において、自己の紹介文等を登録したページ(以下「マイページ」といいます)の作成および掲示板、レビュー等の本サービスの機能を利用して、情報の書き込み(以下、単に「書き込み」といいます)をすることができます。ただし、これらに、次の各号のいずれかに該当する文書等を掲載することはできません。
① 公序良俗や法律に反するもの
②犯罪的行為に結びつくもの(略)
⑧ 出会いを目的とした内容または出会いを斡旋する内容もしくはこれらに関連する情報を紹介するもの
⑨ 個人情報(自己のものであるか他者のものであるかを問わない)や、個人情報の提供を促す内容のもの
ヘルプコンテンツの出会い禁止についての説明
規約では出会い系の要件を排除していますが、実際はどうなのか。
合コンOKとしているmixiのヘルプを確認してみます。
ヘルプトップ > 利用上の注意 > してはいけない「出会い募集」について知りたい
利用上の注意に関する質問
Q. してはいけない「出会い募集」について知りたい
mixiでは、以下のような行為を禁止しています。下記に該当する行為を確認次第、mixi運営事務局で投稿を削除したり、アカウントの利用を停止する場合があります。
- 会ったことのない異性との出会いを求めたり、実際に会おうとすること
- コミュニティなどで初めて知り合った異性と、電話やメールなどをしようとすること
- コミュニティやメッセージなどで、会ったことのない異性と連絡先を交換しようとすること
- そのほか、男女間の関係の発展を期待するような募集を書き込むこと
このような書き込みを見かけても、記載されたURLやメールアドレスをクリックしたり、投稿者とコンタクトを取らないようにしてください。
面識のない人とのコミュニケーションについては、十分ご注意ください。
mixiで禁じているのは「会ったことのない異性」「初めて知り合った異性」との連絡先の交換のみ。つまり、すでに知り合いなら問題ないということ。
しかしこの文言。よく言われることですが、同性愛者同士ならお咎めなしなんですよ。
他方、18歳未満のサービスの利用を禁じているDMM GAMESは年齢的な問題はクリアしていますが、出会い系サービスとしては届出ていません。年齢的な問題はクリアしても出会い系サービスを営んでいるわけでもないですし、身分証による年齢確認をしていないから禁じるしかないのでしょう。
いろいろ窮屈だけど仕方がないのかも
これまで見てきたように、ソーシャルゲームサービスは、規約で異性との出会いを固く禁じています。そして「出会い系サービス」と見なされないよう、実際に監視も行っています。
その効果もあってか、監視の厳しいサービスでの児童の被害者数は激減しています。
https://www.npa.go.jp/cyber/statics/h28/h28_community_shiryou.pdf
上の図はオンラインサービスでの未成年の被害者数を表しています。青い線の出会い系サイトでの被害者数は「出会い系サイト規制法」の影響もあって減少しています。
こちらは出会い系以外のコミュニティサイトの被害者数です。GREEやモバゲーが属する「ゲーム・アバター系」サービスは出会い系規制法の対象外ですが、被害は減少の一途です。
その代わりかどうかは分かりませんが、それ以外のチャット系・交流系のコミュニティサイトで増加しており、規制法施行前の被害件数を上回っています。
監視が厳しくなったところから、ゆるいところに移動しただけじゃん(╯•ω•╰)
mixiのような一般的なSNSでも出会いにつながる行為を禁じられている以上、子どもも遊ぶゲームサイトで監視が厳しいのは仕方ないことなのでしょう。
リンクを貼ろうとしたら警告が出たのに、気にせずそのまま貼ってペナルティーを受ける人もいます。
サービスごとに運用の仕方が違うので、利用しているサービスの規約を確認して、許容範囲は把握しておくほうがいいでしょう。
出会い目当てに遊んでいるわけではなくても、たとえば外部の別ゲームの話をしていただけでペナルティをくらった人もいます(理由は教えてもらえないのでそう推測するしかない)。現状では運営の担当者の胸先三寸で決まってしまうところもあります。
また、wikiのようなみなが使っているような外部サイトまでリンク禁止となると、面倒でしかありません。
数字をみれば、監視が児童の被害を防止するのに役立っているのは間違いないところです。だからといって煩わしさがなくなるわけではないので、クレジットカードなどでの年齢認証とゾーニングでなんとか出来ないものなんでしょうかね。