パソコンを使っていると同じ作業の繰り返しが発生することがあります。
そんなときに便利なのがマウス自動化ツール。
マウス自動化ツールはマクロツールとも呼ばれ、マウスの動き(マウスジェスチャー)を記録・再生させることができるソフトです。
マウスマクロは事務作業ばかりでなく、同じ動作を繰り返すタイプの「ゲーム」にも利用されます。
マウスの自動化ツールは多数公開されており、無料で使えるものとしてはWindowsでは「UWSC」や「HiMacroEX」、MACでは「cliclick」やMacOS付属の「Automato」があります。
これらのソフトはマウスの動きを記録するばかりでなくキーボードの入力も記録させることができます。
また、マクロ(プログラムみたいなもの)を書き加えることで好きなところだけをループさせたり、条件を指定した動作をさせることもできます。
このページでは利用者も多く、わからないところがあっても調べやすい『HiMacroEX』を紹介します(画像認識を利用したい場合は『Rocket Mouse Pro』を参照)。
マウス自動化ツールHiMacroEx
HiMacroExはWindows10に対応したマウスを自動化するフリーソフトで、記録したことをそのまま再生してくれます。
HiMacroEXはマウスの動きとキーボード入力を記録・再生させられるばかりでなく、マクロと呼ばれるプログラムを書き加えることで、条件を指定した複雑な操作をさせることができます。
フォルダ操作やurlへの移動など、用意されたコマンドは多岐にわたります。
さらに繰り返し(ループ)回数を指定し、最後に電源を切るコマンドを入れれば、時間のかかる作業後に自動でシャットダウン(電源オフ)までしてくれます。
フリーソフトとは思えないほど使い込める多機能さですが、ここではマウスの記録と再生に絞って解説します。
ダウンロードとインストール
HiMacroEXの配布場所はベクターなので安心して落としてください。もちろん無料です。
ただしこれを使うには、VBランタイムと呼ばれるソフトが別途必要になります。
HiMacroExを解凍・実行して動けばよし、動かなければランタイムをインストールしてください。
OSのバージョンによってはVB6.0では動かないことがあるので、HiMacroExが機能しないようならXTRM Runtimeをダウンロードしてください。
XTRM Runtimeは邪魔になるものではないのでインストールしてしまって問題ありません。
もし余計なものをインストールすることに抵抗があるなら、おーとくりっかーか、類似のマウスオートソフトをベクターや窓の杜で探してください。
違いはホットキー(ショートカットキー)の初期設定くらいで、使い方は変わりません。
HiMacroEXの実行
HiMacroExはインストールの必要がないのでVB Runtime(XTRM Runtime)をインストールしたらすぐに使えます。
使用前にマクロ停止のホットキー(ショートカットキー)だけは覚えてください。これを忘れるとドツボにはまることがあります。
ホットキーの設定は上のメニューの[設定]→[オプション画面表示(一番下)]でオプション画面を開けば表示されます。
一番下のマウスカーソルの当たっているとこがオプション。
HiMacroExオプション画面
デフォルト設定では↓のはず。
再生/中断:Pause
マクロの停止は手動で行なえますが、インターバル(命令実行の間隔)が短いマクロを数百回もループさせると停止ボタンをクリックできなくなります。
くれぐれも中断キーであるPauseボタンは忘れないでください。
HiMacroExセッティング
設定メニューでは、HiMacroEXの基本的な動作を指定します。
ゲームや単純なコピペ作業なら、一番上の「マウスクリック記録」と「時間記録」をオン、その下の「マウス移動記録」と「相対位置でマウス記録」の2つはオフにします。
それだけ指定しておけば、後はお好みで。
HiMacroExセッティング
HiMacroEXで動きを記録・実行させる
- 記録開始(右側に記録される)
- 再生(右側に表示されたコマンドを実行)
- クリア
- 保存
- 読み込み
- 保存したマクロファイル
- ループ回数
- コマンドフィールド(エディタ)
記録すると画面の大半を占めるテキスト表示部に、よく分からないコードが表示されます。こよコードがマウスの動きを記録したマクロです。
ここに書かれたコードに従ってマウスの動きが再生されます。
数字だけの行は、上と下にあるコマンド実行間隔(インターバル、ミリ秒)を表します。記録の際に操作をためらって長いインターバルとして記録されていたら、数字を減らせば実行間隔を短くすることができます。
あとは再生ボタン(デフォルトではPauseキー)を押して再生するだけです。
記録にせよ再生にせよ、ホットキーを使うほうが都合がいいので覚えてしまいましょう。
記録・再生は簡単にできますが、マウスアクションに対するアプリケーションやゲームクライアントの応答時間はそのつど異なるので、インターバル(実行間隔)は長めにするほうが安心です(マウスボタン連打状態にしたいなら逆に短くします)。
マウス操作に使えるマクロ
ダブルクリック
HiMacroExではダブルクリックは記録されません。
ダブルクリック操作をさせたい場合は一度シングルクリックで記録し、コマンドを書き換えてやる必要があります。
シングルクリックはLMouse Down (1164,662)とLMouse Up (1164,662)のように、マウスボタンを押した座標と離した座標書かれています。
UPとDownのセットを消して、LMouse Doubleに書き換えます。
LMouse Down (1164,662) LMouse Up (1164,662) ↓↓ LMouse Double(1164,662)
一般にクリックはLMouse Down (x,y)とLMouse Up (x,y)のセットになっていて、間にインターバルの秒数が入っています。
x,yはマウスの座標なので、シングルクリックであるDownとUpのセットを消してDoubleに置き換えてから座標を入力します。
ダブルクリックコマンドは左右中ボタン全てで使えます。
LMouse Double(x,y) :左マウスボタンをダブルクリック RMouse Double(x,y) :右マウスボタンをダブルクリック MMouse Double(x,y) :マウスホイールをダブルクリック
実行間隔(インターバル)
数字のみの行は、待機時間(実行間隔:インターバル)です。
この数字をいじることで、マウスクリックの間隔を短くしたり長くしたりといった調整ができます。
特定の部分だけ繰り返し(ループ)
画面左下の「ループ」では繰り返す回数が指定できます。ここで入力した数字はマクロ全体を繰り返す回数になります。
特定の動作だけを繰り返させたい場合は、<r 回数>と</r>で繰り返させたいコマンドを挟みます。例えば
386 LMouse Down (1164,662) 120 LMouse Up (1164,662) 732 RMouse Down (1164,662) 104 RMouse Up (1164,662)
このマクロでRMouse Downの部分だけ3回繰り返したい場合
386 LMouse Down (1164,662) 120 LMouse Up (1164,662) <r 3> 732 RMouse Down (1164,662) 104 RMouse Up (1164,662) </r>
と、RMouseの上に<r 3>、下に</r>を書き込んでくくってやります。するとRMouseの部分だけが3回繰り返されます。
マクロ実行時の注意点
再生前に気を付けるべきこととして、インターバル(コマンド実行の間隔)の長さがあります。
インターバルが短すぎて意図した動作をしなかった時、重要なデータを消してしまったり、ゲームなら貴重なアイテムを使用してしまうことがあります。
最初はコマンド実行間隔を長めにしておいて、不具合が生じないことを確認しつつコマンド間隔を短くしていくとトラブルを避けることができます。