ソーシャルゲームでは課金アイテムとしておなじみの「ガチャ」。
カードやアイテムがランダムに出てくるため、「確率がおかしくね?」と時おり疑惑の目が向けられるあれですが、ゲームによってはガチャだったりガシャだったりと、呼び方がまちまちです。
ソーシャルゲームサイトを作っている身としては用語は統一したいんですが、ゲームによって表記が異なるのでそれができないんですよね。
どちらが多いのか調べてみると、グーグル検索の結果では10倍以上の大差でガチャが優勢となっています。
- ガシャ 3,580,000
- ガチャ 49,100,000
10倍以上の差になっている原因は、モンスターストライクやパズル&ドラゴンズといった人気タイトルが、「ガチャ」と表記しているためだと思われます。
ではゲームごとの「ガチャ」と「ガシャ」の違いはどこから来るのか。最初は商標の問題だと思っていたのですが、調べてみるとそういうわけでもなさそうです。
ガシャとガチャの違い
ガシャとガチャの語源は一般名称で言うとカプセルトイ。ドラッグストアやおもちゃ屋の店頭にある、アイテムが入ったカプセルが出てくる、いわゆる「ガチャガチャ」です。
そして「ガチャポン」と「ガシャポン」は登録商標。
- 「ガシャポン」「ガチャポン」はバンダイの商標
- 「ガチャ」はタカラトミーアーツ
ウォシュレットはTOTOの商標で、シャワートイレがINAX。普通名称が「温水洗浄便座」と同じことですね。
ガチャもガシャも語源はカプセルトイですが、ソーシャルゲームで『ガチャ』という言葉が使われるようになって、さまざまな会社が商標登録しています。
オンラインゲームで用いられる『ガチャ』は、「ランダム型アイテム提供方式」と定義されています。なるほどと思いますね。
商標は使用範囲が被らなければ(たとえば食べ物とおもちゃのように別々の分野なら)同じ名称でも登録できるため、同名のものが複数登録されていることがあります。
それはさておき、オンラインゲームにおける『ガチャ』の商標はNHN comico株式会社が持っています。
『ガチャ』という商標を持っているのはNHNの子会社ということは、他の会社が使うことはできないはず。
しかし、現実には「ガシャ」「ガチャ」いずれにしても商標登録している会社以外でも使われています。
そこで見つけたのが弁理士・公認会計士の書かれているこの記事。
指定役務をゲームの提供と考えると、ある一つの機能に商標を付したとしても、そのゲームの出所を示すための態様とは考えにくい。
では指定役務をキャラ画像の提供と考えるとどうか。
ゲームの中の一機能としてガチャによるキャラ画像の提供を行っているとして、それ単独を役務として切り出して役務の出所を示していると言えるのか。
単なる説明的な記載ではないのか。ちょっと判断がつきません。
専門家でも「◯◯ガチャ」といった場合にガチャという商標を侵害するかどうかは判断しようがないということのようです。
ガシャ・ガチャの違いは商標の問題ではないらしい
上の引用を解読してみます。
まず商標には「識別機能」「出所表示機能」の二つの機能がある。『ガチャ』に当てはめるなら
- 「ランダム型アイテム提供方式」が識別機能
- 「どこの会社のものかを保証する」のが出所機能。
そして前述のサイトでは、ゲーム内で行われる抽選式のアイテム提供方式が、「ガチャ」という商標権の機能を侵害することになるのかよく分からないとしています。
おおざっぱにまとめるとこういうことでしょう。
- 「ガチャ」「ガシャ」という名前でアプリを作って配布したり、ウェブサイトでサービスを行えば商標権の侵害になる
- ゲーム内で提供されるサービスに「ガチャ」や「ガシャ」を冠したところで、商標権をもつ会社のサービスと混同されることはない
NHNとは別の会社がゲーム内で「ガチャ」と呼んだところで、NHN comicoの提供する「ガチャ」と混同されることはありません。
ゲーム内でガチャを提供しているのはそのゲームの運営会社だとみんな分っていて、NHNのガチャだと思って引く人はいない。
そう解釈をするなら、ゲーム内で「ガチャ」「ガシャ」というサービスを提供しても商標を侵害することにはならない。
どちらの呼び方でも権利を侵害しないとなれば、運営会社の好きな方を採用していると考えてよさそうです。
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